厚生労働省の残業禁止について(補足)

  昨日のエントリーに2点補足する。

 

  第一に、国会対策への踏み込みが不十分だと考えたので昨日はああ書いたが、しかし全体としては、塩崎恭久厚生労働大臣はよくやっている、ちゃんと正しい方向を見据えて努力されていると思う。その点を評価したい。

  第二に、よって塩崎厚労大臣は、自分のプライドだけが大事でそもそも正しい方向を目指そうなどと夢にも思わない長妻昭のような人間とは比べるべくもない、よい大臣であると思う。昨日のエントリーでは塩崎大臣と長妻昭との両方を登場させたので、私が塩崎大臣を「長妻昭と同程度にしか評価していない」と誤解されるとすれば非常に遺憾、というかこの上なく口惜しいので、補足させていただいた。

 

  塩崎大臣には期待しているからこそ、苦労はあるだろうがさらにもう一歩踏み込んでいただきたいと願うものである。(長妻であれば初めから何も期待しない、というよりせめて「一かけらでも良心があるのなら、取り返しのつかない有害なことはなるべく控えてくれ」と思うだけである。)

厚労省の残業禁止について

  朝のNHKニュースでやっていたが、以前に触れた「厚労省の午後10時以降の残業禁止」は、「残業『原則』禁止」の意で、国会対応は例外ということだそうである。

  要するに、残念ながら塩崎厚労大臣は何もわかっていないということだ。国会対応が諸悪の根源であるのに、国会対応を例外にしてどうするのか。(私の本年2月3日のエントリー「霞が関で残業を禁止するために必要なのは」参照)

  国会議員には、自分たちが霞が関に残業を強いている罪悪感はまるでない。彼らは、「自分たちの質問の方が大事なんだから、利益衡量しても霞が関が残業するのは仕方ないよね」と思っている。彼らの大半には、その考え・行動がただちに男女共同参画や女性の活躍と矛盾するという見識などないのだ。(たとえば、以前に長妻昭*は新聞においてこの文脈で「野党の質問権を確保することも重要だ」などと述べていた。質問権はもともと保障されているが自分たちの勉強不足・準備不足のみにより質問通告が遅くなっている現状を棚に上げてである。そこを自覚してまず反省しろ、恥を知れと。)

  前にも書いたが繰り返しておく。塩崎大臣、残業禁止とぶち上げるのはいいですが、口だけじゃなくて実効性を持たせましょうよ。そのために国会と調整しましょうよ。あるいは大臣の責任において、上記の長妻昭のような「一かけらの見識もない」議員の、ルール違反の質問を拒否しましょうよ。与党が衆院で3分の2を占め、かつ総理にも理解がある今ならできる、というより今しかできませんよ。このチャンスを見過ごさないでください。

 

* このような人間がかつて厚労大臣をやっていたわけである。

For Greek People, and also for Korean People

   According to some news media the other day, Greece’s Prime Minister Alexis Tsipras was going to request compensation of World War II from Germany as one way of negotiation on its finance. Now let me predict what will happen from now on. I’m sorry, but my words will without doubt realize because I know how Germans feel.

   From now on Prime Minister Merkel will not make even the smallest compromise to Greece. This means that Greece has only two choices; completely accepting the plan of EU without changing a word of it, or just exiting from EU, or at least Euro. In the latter case, the economic situation of Greece will be much worse than now or than that of the former case.

   Why will Merkel not make the smallest compromise? The reason is that Germany is a democratic country. However powerful Merkel is, she cannot ignore opinions of Germans. And now Germans, who have apologized about World War II many times, who have compensated for its damages, and who have contributed to the peace of the world for 70 years, cannot just smile calmly, facing such an absurd request.

   In short, the strategy of Tsipras was the worst one. The request itself made Germans mad. The request itself made it impossible for Germany to compromise. My advice for friends in Greece is to dismiss him and withdraw it. Actually, that’s the only way for Greece. Otherwise it will go directly to the hell.

 

   Why do I know how Germans feel? Because I am Japanese, that’s all. That’s exactly what Japanese people always feel. Everything, including that we have apologized many times, that we have compensated its damages, and that we have contributed to the peace of the world for 70 years, is just the same.

霞が関で残業を禁止するために必要なのは

  さて先日、塩崎恭久厚生労働大臣が「省内で22時以降の残業を禁止する方針」であると報じられた。恒常的な残業が常態化している霞が関において、大変素晴らしい取組みである。

  ところで、大学時代の友人が山ほど霞が関に勤めているので私はいろいろ話を聞いている。私としては、私が友人から聞いて理解したこと程度はせめて塩崎大臣が「分かって」言っていることを願うのだが、霞が関では仕事は外から来る。「経済財政諮問会議」やら「対外交渉(特にアメリカ等からの圧力)」やらいろいろあるそうだが、外の最たる例は国会である。残業量はほとんど国会次第だと言っても過言ではない。

  つまり、国会から作業依頼やら質問通告やらがバンバン来ている中、単に残業を禁じても、役人に両立不可能・二律背反な義務を課しただけという結果に終わるわけだ。それでは誰が見たって意味がない。残業を禁止するのであれば、必要なのは「(ある程度以上の)国会からの仕事を拒否すること」である。役人が自発的に国会の仕事を拒否すれば角が立つ(というより、いろいろと面倒な問題が生じて気の毒な)ので、大臣が責任を持って拒否する・拒否のルールを定めるのだ。仮に問題になれば大臣自身が国会に対して責任を負う。端的に言えば、大臣が国会で次のように答弁するわけである、「このルールに反した作業依頼でしたので、期限は私の判断で延長させていただきました」「質問通告が遅かったので、今日ではなく明日、私から答弁します」と

  塩崎大臣の「残業禁止」がここまで意味している場合に限りそれは実現可能であり、そこまで考えていなかった場合は何の意味もないお題目に過ぎなくなる。さて、どちらであろうか。見ものである。

  もっとも、東洋経済に「民主党政権は、政策立案から決定まで霞が関に頼り切りにもかかわらず、凋落する支持率回復手段としての「官僚バッシング」を相も変わらず続けている」(東洋経済2012年5月26日号・横田由美子「キャリア官僚たちの素顔」)とまで書かれた民主党時代とは違うので、個人的には期待できるだろうとみている。

日本の財政に関する誤解をつぶします。

  ちょっと前に、政府財政の現状について、概要以下のようなわかりやすい例え話(一般家計に例えたもの)が話題になっていた。

  ……(父と母の)収入の合計は595万円だが、支出(歳出総額)は963万円で収入の約1.6倍。最近体調が悪いおじいちゃんの介護や医療費(社会保障費)に315万円かかる。地方にあるお母さんの実家はアベノミクスの効果が波及していないようで、仕送り(地方自治体への財政支援)が155万円必要だ。最近は地震が多いし、自宅の耐震工事(公共事業費)に60万円をかけるつもりだ。物騒な世の中なので、最新の警備システム(防衛費)も50万円で導入する。これまでの借金の返済費用(国債費)は235万円かかる。2人の収入だけではまかないきれないため、お父さんは銀行から新たに369万円を借りる(新規国債発行)。これまでの借金の合計はすでに1億円を超えている。(中略)2015年度予算案の収入と支出について、1兆円を10万円に置き換えて、一般家庭の家計にたとえた。(日経新聞電子版2015年1月14日「一般家庭にたとえると…収入595万円、新たな借金369万円」。 なお、調べてみて今気づいたが、この例え話は日経新聞の手柄ではまったくなく、財務省が最初から公開していた(財務省HP「我が国財政を家計にたとえたら」)。まあちゃんとマスコミが報じることに意味がないわけではないが。)

  悠久の昔より財務省が繰り返し警告しており、かつ誰もが知っているとおり、日本の財政はこういう状況である。これにさらにいくつかの事実を加えよう。
  その1。「無駄をなくせば増税なんか不要です」と主張する人は多いし、あろうことかそう主張する政党すらある。しかし、上記のおじいちゃんの介護費・お母さんへの仕送り・耐震工事・警備システムだけで580万円かかっており、そこにこれまでの借金の返済費用235万円が加わって815万円になるわけだ。収入は595万円であるのにだ。で、聞きたいのですが、無駄ってどれのことですか? 借金の返済費用ですかね? まあそれを削れば(要するに国債デフォルトですが)国内の金融機関がすべて潰れるとともに、二度と国際社会から相手にされなくなるので、やめた方がいいじゃないでしょうか。
  その2。「景気がよくなれば、増税なんか不要です」と主張する人は多いし、あろうことかそう主張する政党すらある(同じだな)。しかし、この家計のこれまでの収入の最大額は、バブルまっさかりの602万円(1990年)だった。これは増税前の数字だから、まあ今の税レベルならざっと700万円くらいだろう。……それでも支出の総額に250万円以上足りないわけである。そして借金の総額が1億円を超えている状況は変わらない。
  その3。2014年衆議院総選挙に際して、どこかの野党の主要人物(例えば橋下徹)などが「公務員の人件費25兆円を2割減らせば5兆円うく。じゃあ増税は不要です!」などと主張していた。この25兆円とは、自衛隊や、警察・消防・学校の教員などの地方公務員を含めた全公務員の人件費である。……書こうとして、地方分も含まれているために上記のたとえに当てはまらないことがわかったが、誰でもわかる一般論で非難しておく。全公務員の数はざっと340万人であり、うち自衛隊27万人、警察28万人、消防16万人、教員103万人、これだけで過半数を占める。「人件費を2割減らす」ためには、常識で考えれば仕事を2割減らさなければならない。「治安が悪くなってもよいから、警察を2割減らそうではありませんか」「尖閣諸島は放棄して、自衛隊を2割削りましょう!」と主張するのならわかる。後は国民の判断に委ねればよい。あるいは、自衛隊やら警察やらは減らさずに、一般行政事務の4割を減らすということだろうか。4割って結構大きくないですかね。たとえば、皆さんの会社で「仕事を4割減らすことにします」となったら、それってもう違う会社になりませんか? 一般行政事務を4割も減らすと主張するなら、「これとこれをなくします」と、たとえば「予算編成という概念をなくしますし、国民からの電話も受けません」と(これだけでは5%も減らないと思うが)具体的に挙げてもらわないと話にならないわけである。そういうこともせず、「人件費を2割減らします!」というお話にもならない問題外の主張を、あの政党は選挙の公約に掲げたわけである。「国民がナメられている」としか言いようがない。
  ついでに書いておく。よく「財政が厳しいのだから、公務員の給料は引き下げて当然」という主張をする人がいる。財政が厳しいのは公務員のせいではない。繰り返し述べているとおり、財務省が悠久の昔から警告してきている中、「借金をして乗り切ろう」という判断をしてきたのは財務省でなく国民である。また、上記の家計の例えで、実際の家計と異なるのは、収入を増やすための手段が「増税」しかないということである。(そもそも「市場の失敗」の部分を担うのが政府の役割である以上、政府は民間企業のように「ものを売って」儲かることができないのだ。)「財政が厳しければ公務員の給料を引き下げればよい」と主張する人は、論理的には、巨大な増税をして(たとえば消費税35%への引き上げ等)財政が好転すれば、それを理由に「公務員の給料引き上げ」を認めなければならない。それを認めることってできましたっけ。それに反対する人は、要するに「公務員の給料をどんどん切り下げた方が、納税者としては得ですね」と言っているにすぎないのだ。

  上記の家計の例え話の方がわかりやすいならそれでいいのだが、私が言いたいのは、「無駄をなくせば、景気が回復すれば、公務員の給料をちょっと下げれば、増税しなくてもいいんです!」という、事実に反した幻想にしがみつくのはそろそろやめましょうよ、ということです。その幻想に固執すれば、待っているのはハイパーインフレなんですよ。消費税を20%とか払うのと、たまねぎ1つを47万円とかで買う世の中と、どちらがいいんですか。
  前に触れたが、日銀はハイパーインフレを避けるために極めて危険な賭けをしている。日銀が好き好んでそんなことするわけないだろう。日銀にそのようなほとんど勝ち目のない大ばくちを打たせているのは、他でもない国民である。

電凸から世界を救う方法

  中川淳一郎氏の指摘を待つまでもなく、ネットの中にはバカと暇人がうようよいる。そして、バカであるがゆえに現実世界で誰からも相手にされず、鬱屈した思いをため込んだ者は、そのはけ口のために「電凸(※)」などということをするのである。そのバカが「正しいことをしているつもりになっている」のか「迷惑をいとわずにやっている」のかはどうでもいい。仮に正義感からであっても社会にとっては大いに有害だというだけで十分である。

(※)自分に何ら関係のないことであっても、電話をかけて直接苦情等を伝えること。「電話突撃」から生じたネットスラング

  ネット以前の時代には、こういうバカはバカであるがゆえに社会から迫害され、孤立し、社会に対する何の影響力も持たずに無害であった。これこそが世の正しいあり方である。ところが現在は、彼らがバカであること・それゆえに社会から迫害されることは変わらないが、ネットが彼らをつなぎ、かつそれらのバカに電凸などという「力をふるう」方法を与えてしまった。要するに、本来はバカであるが無害であった連中が、バカかつ有害になったわけである。社会の後退である。

  これはかなり困ったことである。なぜなら、電凸というのは実際非常に迷惑だからである。

 

  世に不正があった場合において、無実の人を傷つけないことは必須だし、また不正や罪を犯した人に対しても適正な刑罰というものがある。つまり、ポイ捨てをしたり禁煙場所でタバコを吸ったりしたことで、死刑になったり社会から抹殺されないということである。そのために裁判手続きがあり、法律で量刑が定められており、「疑わしきは罰せず」の原則があり、検察に「合理的な疑いをいれない程度の犯罪の証明」が求められるのだ。

  ところが上記電凸バカにはこれらの手続き・原則の重要性を理解せず、自分たちの正義感を満たすためだけに、自分たちが裁くわけである。しかもその正義感はだいたい間違っている(なぜなら彼らはバカだから)し、かつ仮にその相手が無実であったところで「だって、ネットにそう書いてあったんだもーん。俺らはそれを信じたんだから悪くないんだもーん」という言い訳をして何ら反省することがない。バカで有害だとしか言いようがない。くだらない正義感を満たしてそれらバカが嬉しい以外、誰も得しないどころか、他の人は(というより社会全体が)損をするわけだ。

 

  要するにこういう電凸バカから権力を奪うことが重要である。

  幸いなことに、電凸バカは日本に1千万人もいるわけではない。それらバカの電話番号リストを共有して着信拒否にする。仮に着信拒否にできなくても、電凸バカだとわかった時点でずっと保留音を流しておく。その間の電話回線がふさがってしまうのが残念だ。どなたか、「この時だけ用の電話回線」を提供する(つまり電凸バカの電話を自動的にそちらに転送する)サービスを始めてもらえないだろうか。

  苦情対応などおろそかにできないことはあろうが、これら電凸バカは誠意を持って対応すべき相手ではない(対応しても電凸バカ以外誰も得をしない。特に電話口で対応に当たる方の心労は大変なものである)。対応しても企業等対応する側に何のメリットもないから、単に対応しなければよいのだ。これまで「丁寧な対応」を心掛けてきた窓口・対応者の方々は、電凸バカに対しては発想を変えていただきたい。考えてみてください。それらバカは、あなた方の商品の消費者でもなければ、関係者でもないでしょ? 相手をする必要がないんですよ。

  また、権力を奪われたバカが2ちゃんねるで傷をなめ合ったり、悪口を言ってストレスを発散させる分には何ら問題ない。それが現実とつながる、現実に影響を与えるのが問題なのだ。上記の方法で電凸は封じられる。これでバカが現実に影響を与える手段の大部分を封じたといえる。これも幸いなことに、多くのバカは家にこもっているだけなのでナイフを持ってきたりはしないであろう。(何人か危険なバカはいると思うが。そういうバカこそ早く捕まえて刑務所に入れるべきである。)

  加えて、人々が2ちゃんねるを信じないこと(2ちゃんねるから情報を得ないこと)、「2ちゃんねるその他で話題になっていることをマスコミが報じないこと」が大事だ。つまり、2ちゃんねるなど、バカの活躍の場を「現実から切り離す」ことによって、バカから権力を奪うことが大事である。バカに権力を与えても有害なだけ、普通の人は迷惑するだけだからだ。

  1人1人にできることがある。社会を少しでもよくしていきましょう。

裁判官を買収する方法

  これから日本の裁判官を買収する方法を検討するが、なぜそんなことを検討するか、その経緯を記しておく。

  ある友人がいうには、「多くの途上国では、刑事裁判において無罪判決が出ると、『裁判官が買収されているのではないか』という懸念が人々によぎる。日本では決してそんなことはない。裁判官への信頼が高いのは大きな財産だ」とのことだ。

  なるほど、確かに日本で無罪判決が出た時に、「裁判官が買収されたのでは」と思う人間は1人もいない。なぜなら、日本で裁判官を買収するのは少々、というよりものすごく、難しいからである。よって以下、裁判官を買収する方法を真剣に検討することにする。

  まず、担当の裁判官と接触するのがそもそも難しい。あなたが刑事裁判の被告の関係者であれば、裁判官はめったなことでは会ってくれない。法廷でなら会えるが、法廷で(法廷には結構いろんな人がいる)裁判官を買収する勇気がある人は少ない。というか、上記のような途上国でも、さすがに法廷で裁判官を買収するわけではないだろう。

  この時点であきらめてしまいそうになるが、とにかく何らかの工夫を凝らし、あるいは伝手を頼って、担当裁判官と個人的に会えたとしよう。(そうでないと話が進まない。)絶対に話が外に漏れる心配のない、裁判官の執務室に通されたとする。

  あなたが少しでも買収をにおわせるとどうなるか。困ったことになる。裁判官がではなく、あなたがだ。なぜなら、あなたの示唆を聞いた瞬間、裁判官のうち7割くらいは、あなたの申し出の内容を吟味することなく条件反射的に電話するからだ。おおよそ全裁判官のうち5割くらいは守衛を呼び、あなたをつまみ出してもらう。おおよそ全裁判官のうち2割くらいは、懇意にしている検察に電話をかけて来てもらうだろう。(もはや110番ですらない。)

  後者の場合には、あなたはますます困った立場に追いやられる。なぜなら、執務室で裁判官を買収しようとするなどという事件は日本ではあまり例がないので、検察は単に急いでやって来るのでなく、「懇意にしているマスコミに連絡してから」急いでやって来るだろうからだ。あなたが裁判官の執務室で検察官に現行犯逮捕される瞬間を、NHKやらフジテレビやら読売新聞やら時事通信やらのカメラマンが撮影するわけである。なぜならそれが彼らの仕事だからだ。

  こう考えると、裁判官を買収しようという気持ちはかなり萎えるのが普通だ。しかしここでは、あなたがこの上なく勇敢で、担当裁判官が上記7割に入っていない(つまり条件反射で電話をかけない)ことを信じ、裁判官の買収に突き進むと仮定しよう。そして運よく、上記7割でない残り3割の裁判官、これら裁判官は単に「条件反射的に電話をする」ことはない裁判官で、そのうち2割5分くらいは、しばらく考えた上で結局は電話するだろうから、残りの5分(つまり5%)の裁判官にたまたま当たったものとする。なんと幸運なことであろうか。

  その5%の裁判官であっても、ほとんどは「バカなことはやめて、さっさと帰りなさい」とあなたを諭すのがオチだが、ここでは多めに(信じられないほど多めに)見積もって、それら5%の裁判官のモラルが破綻していると仮定する。つまり、彼らは損得勘定に従って、買収されるか否かを決定するとする。

  このような、これから裁判官を買収しようとするあなたにとって夢のような、ほとんどあり得ない仮定を置いたところで、裁判官を買収するのは難しいのである。多くの場合、彼らはまったく金に困っていない。その彼らが、エリート街道を歩いて世間的にも尊敬を受けている彼らが、ばれれば失職するどころか懲役刑をくらうような危険をわざわざ冒す理由が見当たらないのである。モラルを抜きに損得勘定で動いたとしてもこのような結論になる。

  私としては、あなたの担当裁判官が、たまたまモラル的に破たんしており、かつギャンブルにはまって借金まみれであるがゆえに、あなたからの買収の申し出に飛びつくことを、あなたのために祈ってはいる。そうでなければ親愛なるあなたが大変な人生を(壁の中で)送る羽目になる。しかしながら、裁判官を買収しようとするあなたは、極めて望みの薄い、勝てる見込みの少ない賭けをしていると、私はあなたの友人として、あなたに警告せずにはいられない。あなたの友人として、私は次のようにお伝えしよう。やめた方が身のためですよ。

 

  あと、例えば国会議員を通して検察に圧力をかけたりしたら「逆に最優先で捜査される」ように、裁判官に買収を申し出たら、裁判官の心証を害して、あなたに不利な判決が出やすくなるだろう。日本では、検察も裁判官も、あまり甘く見ない方があなたのためである。どちらかというと、彼らはかなり恐ろしい。